il10_07[1]













いや~懐かしい!
現代人はこの話は知らないでしょうね
人の話をうろ覚えで話したり
しっかり理解をしないで実行してしまうと、こうなってしまうと言う
間の抜けたお話!




食い終わると
「実は脇でまずいそばを食っちゃった
おまえのを口直しにやったんだ
一杯で勘弁しねえ。いくらだい?」

「十六文で」

「小銭は間違えるといけねえ
手ェ出しねえ
それ、一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ、
今、何どきだい?」

「九ツで」

「とお、十一、十二……」

すーっと行ってしまった

これを見ていたのがぼーッとした男

「あんちきしょう、よくしゃべりやがったな
はなからしまいまで世辞ィ使ってやがら
てやんでえ。値段聞くことねえ
十六文と決まってるんだから
それにしても、変なところで時刻を聞きやがった、
あれじゃあ間違えちまう」
と、何回も指を折って
「七つ、八つ、何刻だい、九ツで」
とやった挙げ句
「あ、少なく間違えやがった
何刻だい、九ツで、ここで一文かすりゃあがった
うーん、うめえことやったな」

自分もやってみたくなって、
翌日早い時刻にそば屋を捕まえる

「寒いねえ」

「へえ、今夜はだいぶ暖かで」

「ああ、そうだ。寒いのはゆんべだ
どうでえ商売は? おかげさまで? 
逆らうね。的に矢が……当たってねえ
どうでもいいけど、そばが遅いねえ
まあ、オレは気が長えからいいや
おっ、感心に割り箸を……割ってあるね
いい丼だ……まんべんなく欠けてるよ
鋸に使えらあ
鰹節をおごって……ぶあっ、塩っからい
湯をうめてくれ
そばは……太いね。ウドンかい、これ
まあ、食いでがあっていいや
ずいぶんグチャグチャしてるね
こなれがよくっていいか。
竹輪は厚くって……おめえんとこ、竹輪使ってあるの? 
使ってます? 
ありゃ、薄いね、これは
丼にひっついていてわからなかったよ
月が透けて見えらあ
オレ、もうよすよ。いくらだい?」

「十六文で」

「小銭は間違えるといけねえ。手を出しねえ
それ、一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ、
今、何どきだい?」

「四ツで」

「五つ六つ七つ八つ……」