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昔、山梨の八坂(はっさか)という所に、八左衛門というとても力持ちで大飯食らいの男がいた。そんな八左衛門であったが、気持ちはいたってやさしく、力仕事があればいつも快く引き受けていたので、村の者からたいそう慕われていた。

そんな八左衛門の評判を聞いた名主(なぬし)さま、是非とも八左衛門にうちの畑で働いてもらいたいと、飯は食い放題、手当も十人前という破格の待遇で雇うことにした。

力持ちの八左衛門が野良仕事をすれば、畑の一枚などあっという間に耕してしまう。
その働きぶりは、一五人前、いや二十人前はあるだろうか。これには名主さまもたいそう喜んだ。
ところが、名主さまの女将さんだけは、八左衛門を快く思っていなかった。
ケチな女将さんは、八左衛門の大飯食らいが我慢ならなかったのだ。